オンライン診療の現状と今後の展望 その2

 デジタル化が進み始め、オンライン診療へも注目が集まってきています。きっかけはコロナ禍でオンライン診療の実施要件が緩和され、導入する医療機関が以前よりも増加したことが一つの要因としてあります。

 オンライン診療は通院の負担が少ない点がメリットです。ただ、オンラインですと、触診や聴診、その他必要な検査が実施できないので、診療で医師が得られる情報に限りがあります。そのため、医療界にはオンライン診療は対面診療の補完と位置づける考えが根強くあります。

 こうした課題に対して様々な施策が始まっています。一例を挙げると「診療カー」のサービスがあります。インターネットで予約すると、医療機器を備えた診療カーが患者の自宅まで来ます。車には看護師が同乗しており、医師がビデオ通話で診療し、看護師が医師の指示に従い患者を処置する形になっています。そして、薬の入手もオンライン化が始まっています。利用者にとって、オンラインで診療してもらっても、薬の入手が困難だとオンライン診療のメリットが半減してしまいます。こうした流れの中、アマゾンジャパンやウーバーイーツジャパン、TOPPANなど、処方箋薬の宅配に力を入れる企業も現れています。

 オンライン診療の懸念としての一つはセキュリティの問題です。診療の内容は暗号技術によって安全に守られており、病気の情報が外部に漏れないようセキュリティ対策が施されています。ただ、将来的に量子コンピュータによって、現在の暗号技術が破られる恐れがあります。そこで、PQCといって、量子コンピュータでも解読が困難とされる方式も開発されています。

 オンライン診療は、課題を一つずつ解決している途上にあります。今後、さらに使い勝手の向上が進み、普及を期待したいところです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)