医療費控除の対象になる通院費

 けがや病気の治療にかかった費用を所得から差し引ける「医療費控除」は、診療代や薬代以外に、通院のための交通費も一部対象となります。ただし、このとき差し引けるのはあくまで治療を受けるために必要な支出だけで、例えば単なる風邪の治療のためにタクシーを使って行ったり、近所に病院があるのにわざわざ遠方の病院に遠出したりするケースでは控除対象とは認められません。逆に遠隔地の病院への交通費であっても、特定の病院でしか治療できないような難病であれば交通費は控除対象になります。

 治療に直接必要だという証拠がないと医療費控除の対象として認めてもらえないのかというと、そこまで厳密な証明が求められているわけではありません。特に交通費は領収書のないものも多いため、国税庁の税に関するQ&Aでも、「家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておいてください」と説明されています。通院履歴なども保存しておいて交通費がかかった日時と通院記録を照らし合わせられるようにしていると、なおよいでしょう。

 病院に行くときは一人では不安なこともあり、家族や知人に付き添ってもらうことも多いかもしれません。しかし通院費が医療費控除の対象として認められるのは、あくまで本人のみが原則。例外として、患者の年齢や病状からみて「患者を一人で通院させることが危険」と認められれば、付添人の通院費も控除対象に含めることが認められています。例えば3歳の子の治療に親が付き添うのであれば、親の交通費も医療費控除に含めることができるということになります。

<情報提供:エヌピー通信社>