インボイス制度(適格請求書等保存方式)に限らず、食料品などの卸売を行っている事業者が、取引先に対する請求に際して、その請求金額の合計額の端数を値引きすること(以下:出精値引き)がありますが、請求書の記載については注意が必要です。
課税資産の譲渡等の対価の額の端数を値引きする場合、値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かで対応が分けられます。
既に行った課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合に売上に係る対価の返還等として処理するか、これから行う課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合に課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理します。
値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かについて厳密な区分が困難である場合は、上記のいずれの処理を行っても差し支えありません。
既に行った課税資産の譲渡等の対価の額の端数の値引きである場合は、その課税資産の譲渡等に対する値引きについては、適格返還請求書を交付することになりますが、適格請求書と適格返還請求書のそれぞれの記載事項を満たして一の書類で記載することもできます。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和5年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。