健康寿命を延ばすパーソナルヘルスレコードの活用 その1

 日本では平均寿命が延び続けていますが、「健康寿命」とのギャップが課題になっています。現状、日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、平均寿命よりも数年が短いのが現状で、亡くなる前の何年かは介助が必要になっています。

 これまでは、いかに長生きするかが重要視される傾向がありましたが、最近では健康寿命を延ばし、可能な限り自分らしく、自立した生活を送ることが重要視されるようになっています。また、心身の充実や社会参加、生きがいの維持を図りたいと願う人が増えています。

 その中、健康寿命を延ばすうえで重要な役割を果たす、パーソナルヘルスレコード(以下PHR)に注目が集まっています。PHRとはPersonal Health Recordの頭文字をとったもので、個人の健康・医療・介護に関する情報を意味します。具体的には、日常生活の中で計測、記録するカロリーや歩数睡眠時間などのライフログのほか体重、血圧、健康診断結果などを指します。

 ただ、数値を測定するだけでは不十分で、取得したデータを活かすことが重要になってきます。実現に向けて注目を集めているのがPHRサービスです。民間事業者によって、健康診断結果をはじめとする体重、血圧、血糖値等のPHRを用いて、個人の健康維持や健康改善の支援をはじめとした多種多様なサービスが提供されています。

 PHRサービスを活用するとユーザーは健康状態をいつでも確認でき、自身の状態にぴったりの提案やアドバイスを受けられます。また、PHRの個々の項目について目標値から離れた事項があれば、影響を及ぼす因子を突き止め改善することで目標に近づいていけるようになります。結果、目標に近づき健康寿命の延長が期待できるようになります。中でも、AI技術を駆使したユーザーの食事内容や生活習慣に基づく個別アドバイスが人気で2023年度の市場は前年度比2.5%増の125億円にもなっています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)