政府はこのほど開いた経済財政諮問会議で、財政健全化の指標となる国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が2025年度に3兆2千億円程度の赤字になるとの試算を示しました。税収の上振れで1月の試算(4兆5千億円程度の赤字)よりやや改善するものの、25年度の黒字化実現はほぼ不可能となりました。
歴代政権は18年以降、「25年度」までに黒字化を実現するという目標を掲げていましたが、今年6月に決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、達成時期を「25年度から26年度」と明記。目標達成時期を事実上先送りする見通しを示していました。
政府の試算ではPBの黒字化達成時期を「26年度」とし、黒字幅は3兆6千億円程度と見込んでいます。ただし、この試算では、高校授業料など教育無償化のための安定財源を確保することが前提となっています。また、消費税減税などが実施されることになれば、黒字化の達成は困難となります。
この日の経済財政諮問会議では、内閣府が「年央試算」と「中長期の経済財政に関する試算」を報告。今年度の実質経済成長率が0.7%になるとする試算も公表しました。物価高や米国の関税による影響を踏まえ、今年1月の見通し(1.2%)から引き下げました。「個人消費」「設備投資」「外需の寄与」について、いずれも年初より下方修正。消費者物価指数(総合)の上昇率については、当初2.0%としていた見通しを2.4%に引き上げました。賃金上昇率は3.0%を見込みます。
<情報提供:エヌピー通信社>