(後編)インボイス制度:売手負担の振込手数料相当額の取扱いについて

(前編からのつづき)

 なお、売手が買手に対して売上に係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上に係る対価の返還等のもとになる課税資産の譲渡等の適用税率に従うため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。

 また、振込手数料相当額について、売手が買手から「代金決済上の役務提供(支払方法の指定に係る便宜)」を受けた対価とする場合がありますが、売手の買手に対する課税資産の譲渡等と、買手の売手に対する代金決済上の役務の提供は、それぞれ異なる課税資産の譲渡等となります。
 したがって、売手は、請求金額から差し引かれた振込手数料相当額について、仕入税額控除の適用を受けるためには、買手から交付を受けた適格請求書の保存が必要となります。

 その他、買手が売手に代わって振込手数料を立替払した場合、売手は、買手が金融機関から受け取った振込手数料に係る適格請求書及び買手が作成した立替金精算書等の交付を受け、振込手数料に係る仕入税額控除を行うことになります(この場合、買手が請求金額から差し引く金額が金融機関の振込手数料と同額の必要あり)。

(注意)
 上記の記載内容は、令和5年8月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。