(前編)インボイス制度:売手負担の振込手数料相当額の取扱いについて

 適格請求書等保存方式では、振込手数料の取扱いについて、下記のように公表されております。
 売手からの代金請求について、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うことで売手が負担する商慣行がありますが、この売手が負担する振込手数料相当額について、適格請求書等保存方式の開始後、売手が代金請求の際に既に適格請求書を交付している場合、必要となる対応は、取引当事者間の契約関係等によって分けられます。

 売手が振込手数料相当額を売上値引きとする場合がありますが、売手は、振込手数料相当額について売上値引きとする場合、売上に係る対価の返還等を行っていますので、原則として、買手に対して適格返還請求書を交付する必要がありますが、一般的には、こうした振込手数料相当額は1万円未満となると考えられますので、その場合は適格返還請求書の交付義務が免除されることになります。
 例えば、売上値引き(振込手数料)の金額が550円の場合、その売上値引きに係る適格返還請求書の交付は必要ありません。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和5年8月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。